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中国による海水淡水化の国際規格策定状況

 中国は、ISO/TC8/SC13(船舶及び海洋技術専門委員会/海洋技術分科委員会)において、2015年にWG3(海水淡水化作業部会)を設立し、海水淡水化に関連する規格開発を開始した。これまでに2つの規格を策定し、3つ目の規格を策定中である。ここでは、その状況を報告する。


 既に発行されている規格2件を次に示す。

 

1. ISO23446(2021) Marine technology-Product water quality of seawater reverse osmosis desalination-Guidelines for municipal water supply

2018年6月に開発がスタートし、議論を経たのち、2021年6月にISとして発行された。本規格は、RO法で淡水化した生産水の技術要件をまとめた規格となっている。

 

2. ISO13205(2024) Marine technology-Seawater desalination -Vocabulary

この規格は、蒸発法、RO法の海水淡水化に関する用語をまとめたもので、2022年3月から開発し、2024年6月にISとして発行している。


 現在は、2024年3月に脱塩膜の試験方法に関する規格提案(ISO/NP25175:Standard test method for performance of reverse osmosis(RO) and nanofiltration(NF) membrane element)が提出されている。本規格の開発提案の投票では、日本だけが反対したものの賛成多数で6月に規格開発が始まることが決定した。JISのRO膜試験方法(JIS K3805 1990)と齟齬があり、今後の開発状況に留意していく必要がある。

 JDA協会は、TC8/SC13/WG3の国内取りまとめをしている(一財)造水促進センターと協力して、日本企業が不利益を被らないように中国の規格開発にコメントを提出し、対応をしている。しかし、TC8/SC13/WG3の参加国は、議長で提案者の中国をはじめ、海水淡水化設備のユーザーが多く、サプライヤーである日本企業に不利な提案になる傾向がある。

 

 規格開発に興味のある方は、是非、JDA協会事務局または造水促進センターの大熊(ohkuma@wrpc.jp)まで連絡をいただきたい。